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2013年12月1日日曜日

救急現場でのiPad活用

救急現場でのiPad活用「望ましい」、検討会が報告書 池田宏之(m3.com編集部) 4月1日(月) 配信  総務省消防庁は3月26日、2012年度の「救急業務のあり方に関する検討会」の報告書をホームページで公表した(資料は、同省のホームページに掲載)。iPadのようなタブレット型情報通信端末などを用いたICTを活用した救急活動の分析と比較を行ったのが特徴で、報告書はICTを活用したシステム構築を「望ましい」としている。今年1月に埼玉県久喜市で、救急車で搬送中の男性が36回断られ死亡した事案が発生した状況で、各自治体の対応を後押しする可能性もある。  検討会で、2012年10月に47都道府県にアンケートを実施したところ、18の自治体で、ICTを活用していた。うち8の自治体では、iPadなどのタブレット型情報通信端末やスマートフォンを使っていた。  現在運用されている6県のシステムを比較すると、医療機関が受け入れ可否を入力する「応需情報」や、救急車がどこに患者を運んだかについての「搬送実績」は、6県の全てで共有可能。救急隊間での病院選定情報の共有も、全てのシステムで可能。  ただ、課題もある。医療機関同士での傷病者情報の共有を見ると、奈良県では救急隊がバイタルサインや疑い疾患名を入力すると、参加医療機関同士で情報共有できる仕組みがあるが、救急隊が病院照会までに入力することが難しく、「病院同士で情報共有できないことが多くある」(奈良県)。香川県は、患者情報を入力できるが、個人情報保護の観点から、受け入れ予定の医療機関以外は、閲覧できないシステムになっている。また、救急隊や医療機関がさまざまな情報を入力できるシステムであっても、救急対応中に入力できず、リアルタイムの情報共有が難しいケースも散見される。  課題はあるものの、6県のいずれも「救急搬送の状況の共有で、病院と救急隊員の間、病院間での情報共有が進み、相互理解が深まり、より良い連携ができるようになった」(佐賀県)などと、肯定的な意見が多い。報告書では、救急隊業務負担の軽減に向けて、「ICTの導入・活用により、医療機関や消防機関等で救急活動上の課題を整理し、地域のニーズや特性に合致したシステムを構築していくことが望まれる」と、各地での整備を求める内容。加えて、「画像伝送システムの導入、救急現場での緊急度判定におけるICT の活用等について、検討の一助となることを期待している」としていて、ICTによるさらなる情報共有の進展にも期待を寄せる。  報告書では、問題点にも言及。財政上の負担については「多額の負担が、導入の足かせになっている。市販製品の導入に当たっては、セキュリティや特定業者による囲い込みを防ぐための検討も必要」と指摘している。また、導入の効果についても、活用率や病院への照会回数、患者の生存率などの指標から見える形で効果を計る必要性を述べ、「効果をより明示的に示す評価方法への検討が必要」としている。  救急業務に関しては、2011年中の出動件数が全国で570万件を超え、2010年から24万件(約4.5%)増加した。搬送人員も518万人で、20万人(約4.1%)増となり、出動件数、搬送人員は過去最高を記録している。